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(Ser.6540・2840日連続更新)
今回は特に話題がないときの書評シリーズ。
「学校では教えてくれない日本史の授業 2 天皇論/井沢 元彦・著 」
要は、専門家ゆえに縛られていること(知ってても言えないこと)もあるので、門外漢からの視点も大事だということ。
【御参考:当ブログでの井沢本書評】
・井沢式新ニッポン風土記
・「常識」の日本史
・中国 地球人類の難題
・禁断の日本史・神霊の国日本
そして、この本では…
「井沢元彦の学校では教えてくれない日本史の授業(2)[天皇論]」(PHP)
なぜ天皇は滅ぼされなかったのか。天皇家のルーツから日本独自の宗教観まで、天皇の秘密を明らかにする「井沢元彦の授業」、第2弾!
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
天皇の魂はなぜ復活してはいけないのか?徳川家康はなぜ日光東照宮を築いたのか?歴史の真実を知る12講義。冴え渡る井沢史観で天皇と歴史の謎を解き明かす。
【目次】(「BOOK」データベースより)
第1章 「古代日本」と「天皇のルーツ」の謎を解くーなぜ、日本には“城”がないのか
(古代日本にもあった熾烈な民族抗争/卑弥呼は太陽神である!?/天皇陵からわかる日本人の死生観)
第2章 朝幕併存=二権分立の謎を解くー頼朝・信長・家康でも超えられなかった天皇という存在とは?
(天皇と藤原氏の争いが武士を誕生させた/ケガレ思想が平氏の台頭を許した/平氏滅亡と源氏興隆の知られざる理由/武士から天皇へ、天皇から武士へ/信長は天皇を超えようとしたのか)
第3章 「天皇絶対」と「日本教」の謎を解くー神道、仏教、朱子学からわかる日本独自の思想とは?
(仏教が怨霊を鎮魂する/浄土宗と日蓮宗はなぜ対立したのか/朱子学が国家神道と絶対神を生んだ/日本民族には「天皇」を超える思想がある)
【著者情報】(「BOOK」データベースより)
井沢元彦(イザワモトヒコ)
作家。昭和29(1954)年、愛知県名古屋市生まれ。早稲田大学法学部卒業。TBS報道局(政治部)の記者時代に、『猿丸幻視行』で第26回江戸川乱歩賞を受賞。退社後、執筆活動に専念する。歴史推理小説・ノンフィクションから時事エッセイ、評論まで、幅広いジャンルで活躍中(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
<2012.2.9第1版第1刷発行/2012.8.25読了>
【備忘録】
<各章の「まとめ」から>
第1章 「古代日本」と「天皇のルーツ」の謎を解くーなぜ、日本には“城”がないのか
・日本には敵となる異民族が周辺にいなかったため城壁都市がない
・天皇家の祖先は朝鮮半島から来たようだ
・卑弥呼=天照大御神
・天皇陵には墓誌がない。天皇の霊を復活させないため〜怨霊を発生させないための予防措置
第2章 朝幕併存=二権分立の謎を解くー頼朝・信長・家康でも超えられなかった天皇という存在とは?
・日本人が歴史的に軍隊を嫌うのは「ケガレ」に触れる存在だからと、平和を唱えていれば平和を維持できるという「言霊思想」
・平家の繁栄が一時的だったのは、自分たち一族を富ませるだけで、他の武士にメリットがなかったから
・足利尊氏は後醍醐天皇に一旦は味方したのは、北条氏を倒して、もう一回御家人主体の幕府を作るため
・後醍醐天皇は個人的欲望を満たすためだったから最終的には失敗した
・家康も死後神格化(日光東照宮)しても、結局は天皇家を超えられなかった
第3章 「天皇絶対」と「日本教」の謎を解くー神道、仏教、朱子学からわかる日本独自の思想とは?
・神道はもともとおおらかな思想。朱子学が入って排他的になった
・本居宣長が古事記の研究で「天皇の絶対性」を確立
・日本にはもともと絶対神が存在しない。ゆえに、話し合いで物事を調整することが一番大切な原理
<以下、個別ページから>
第1章 「古代日本」と「天皇のルーツ」の謎を解くーなぜ、日本には“城”がないのか
・農耕民族は定住し、遊牧民族は移住する
・狩猟民族である「縄文人」対農耕民族である「弥生人」
・「古事記」でもっとも強調されて伝えられていることのひとつが「死というものはケガレているんだ」ということ
・「死=ケガレ」という宗教観は天皇家の宗教観
・稲作を持ち込んだ外来民族の長こそが「天皇」だと考えられる
・神話には真実が隠されている
・井沢氏は「邪馬台国東遷説」
・天皇家のルーツは中国大陸あるいは朝鮮半島から渡ってきた農耕民族だろう
>とは言っても、今中国および朝鮮にいる人は天皇家のルーツとは違う民族でしょうね。
・家康が朱子学を導入したきっかけは本能寺の変(←光秀でさえ裏切る)
第2章 朝幕併存=二権分立の謎を解くー頼朝・信長・家康でも超えられなかった天皇という存在とは?
・宗教を無視している限り、歴史をきちんと理解することができない
・武力を放棄してしまった天皇家と藤原家
・土地の所有権争いで天皇家は藤原氏に敗れ、実権を失った
・中央で出世の望みが断たれた中流貴族が、地方に土着し、財産を守るために武技を磨いた結果誕生したのが「武士」
・諸行無常とは、変わらないものは世の中にないということ
・源氏はどちらかといえば農業中心。平家は瀬戸内を基盤とする水軍と手を組んで国際貿易をやっていた
・院政とは藤原氏に対抗した天皇家の逆襲
・武士が頼朝に期待したのは、自分たちで耕した土地の正式な所有者として中央に認めさせること
・国のトップが他に絶対に渡してはいけないのは「「徴税権」と「徴兵権」
・均等相続が御家人を苦しませ、鎌倉幕府倒幕へと導いた
・日本では神の血を引く天皇が「王者」であり、武力で権力をもぎとった幕府の最高権力者を「覇者」と考えた
・神になろうとした信長、神になった家康(東照大権現)
第3章 「天皇絶対」と「日本教」の謎を解くー神道、仏教、朱子学からわかる日本独自の思想とは?
・人間は生きているがゆえに老いからも病からも死からも逃れることができない。その「生老病死」から救われる方法は出家して修行するだけだという考え方が「仏教」の基本
・お釈迦様は、人が執着する原因は「諸行無常」がわかっていないからだという
・輪廻転生という考え方が幸福を生み、差別をも生んだ
・鎌倉時代に「口称念仏」(南無阿弥陀仏)という方法で仏教が庶民に広まった
・次に親鸞は日本仏教史上初の妻帯
・日本では「往生」とは「満足できる死に方」、「成仏」とは「死後に怨みなど心残りがはらされたこと」という意味で使っている←もはや、仏教用語でなく「神道」
・奈良時代の仏教にはご利益がなかった(お世継ぎに恵まれなかった)←平安遷都の主要因
・法然は阿弥陀様、日蓮はお経で両者は根本的に違っていた
・日蓮宗は他の宗派より排他性が強いゆえに、軋轢を生んだ
・日本の歴史学者は宗教を知らない
・史料絶対主義が真実を見えなくさせる
・神道が仏教と融合し、神仏習合に。そして、明治時代には両者は分かれ、神仏分離に。その間には、本居宣長の「天皇絶対」の思想が隠されていた
・その当時の思想は軍歌でわかる
・日本にいち早く民主主義が根付いたのは間違いなく「天皇」という絶対的な存在があったおかげ←絶対者の前ではみな平等
・すべての根源は、日本人の心を掴んで放さない「話し合い絶対主義」にある
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