


浅井 隆・著 飛岡 健・監修「日本をもう一度江戸時代に戻そう」(第二海援隊)
日本には今、閉塞感が漂っている。経済の調子が悪いだけでなく、幸せな顔をしている人が少ない。先進国中最悪の自殺率を記録し続け、先進国の高校生の意識調査でも一番「夢や希望」がないという。一方、世界中のいたるところで人類の横暴なふるまいが地球を限界に追い込みつつある。
この現状を踏まえて今の日本のすべてのやり方、社会システムを「江戸時代に戻してしまおう!」と提唱する。日本の共産主義的な資本主義と地球資源を食い潰す西洋近代科学文明に支えられた資本主義、この両方が行き詰っている今、それが日本と現代文明が生き残るための唯一の方法ではないかと著者は提唱する。
江戸時代に学び、日本を改革しようではないか!
目次
第1章 ゴッホも驚愕させた江戸文化
第2章 江戸時代、日本は“世界一”だった
第3章 「日本人の心」はなぜ壊れたのか?
第4章 江戸時代(江戸人)に学ぶ(エコ生活―「紙屑一つも無駄にしないリサイクルの知恵」
〜自給自足―「国力があったからできた、一〇〇%自給自足システム」
〜遊び心―「モノはなくても暮らしを楽しむ心の知恵」
〜人間関係―「他人を尊ぶ人づきあいの知恵」
〜コミュニティー―「日本独自の政治ユニット“藩”が育てた地域の絆」
〜教育―「江戸人は教え上手・育て上手だった」
〜世界観―「大自然と共に心豊かに生きる知恵」)
第5章 もう一度、鎖国のススメ
エピローグ “ネット松下村塾”が動き出す
その“ネット松下村塾”の2008年10月のアーカイブを見れば、この本を読む必要がないくらいのネタバレしちゃってますけど・・・
それはともかく、江戸時代の良さに着目したのは評価できます。
以下は、同書からのピックアップ。
・明治維新以降、日本は物質的には十分豊かになったことは確かだが、残念ながら精神的には著しく退化してしまったと言わざるを得ない。⇒今の日本人の大問題「精神性の崩壊」
・江戸時代の日本の誇るべき「世界一」
〜水と緑と花に恵まれた「世界一美しい大都市」
〜人口世界一
〜上水道完備世界一
〜江戸の町は世界一衛生かつ安全
〜一人当たりのGDP世界一
〜金融システム世界一
・江戸時代の日本人については、
〜識字率世界一、最高のマナー人、精神性と品位は史上最高
・明治維新に加えて、「太平洋戦争の敗北」で、日本人の精神性の荒廃のスピードを早めることになった
・江戸時代では、とにかく最後の最後まで使い切るエコロージー思想が徹底していた
・「三脱の教え」〜初対面の人に年齢、職業、地位を聞かない
・県民性より、旧藩民性意識が強い
・「薩摩隼人」の気質=飾ったことが嫌いでな正直者で人情にも厚い。思ったことを迷わず行動に移し、まっすぐに突き進む
(保守性と先進性を兼ね備えている=地域の自然環境がその土地に暮らす人々の人間性を大きく左右する)
・「恥を知る」ということ=今の官僚には欠けている
・「廃県置藩」「道州制」=中央集権からの脱却
・日本人の学力低下の一因は「そろばん離れ」
・「儒教」という知識の共通基盤による知識の互換性があった。
・「ある程度厳しい環境の中で体験を積ませる」
「自分自身で一人前になるための答えを見いだせるように導く」
「対話をしながら想像力・創造力を養う」
などの要素が人を育てるうえで欠かせない
・何より大切なのは「自然を崇め奉る」という日本人の心の原点に戻ること
・人間が神以上の存在になろうとすると必ずツケが回ってくる
(地球環境の異変とか)
・自給自足の覚悟を決められるか
・日本の強みは自然の多様性
もっとも、自給自足の覚悟を言いつつ、海外ファンドを勧めるのはどうだか>浅井隆さんwww
日本をもう一度江戸時代に戻そう!
著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
浅井 隆
経済ジャーナリスト。1954年東京都生まれ。学生時代から経済・社会問題に強い関心を持ち、早稲田大学政治経済学部在学中に環境問題研究会などを主宰。一方で学習塾の経営を手がけ学生ビジネスとして成功を収めるが、思うところあり、一転、海外放浪の旅に出る。帰国後、同校を中退し毎日新聞社に入社。写真記者として世界を股に掛ける過酷な勤務をこなす傍ら、経済の猛勉強に励みつつ独自の取材、執筆活動を展開する。現代日本の問題点、矛盾点に鋭いメスを入れる斬新な切り口は多数の月刊誌などで高い評価を受け、特に1990年東京株式市場暴落のナゾに迫る取材では一大センセーションを巻き起こす。その後、バブル崩壊後の超円高や平成不況の長期化、金融機関の破たんなど数々の経済予測を的中させてベストセラーを多発し、1994年に独立。1996年、従来にないまったく新しい形態の21世紀型情報商社「第二海援隊」を設立し、以後その経営に携わる一方、精力的に執筆・講演活動を続ける。2005年7月、日本を改革・再生するための日本初の会社である「再生日本21」を立ち上げた
飛岡 健
現代人間科学研究所所長。金沢工業大学客員教授。1972年、東京大学工学系大学院博士課程修了。航空工学を専攻し、東大のロケット人工衛星打ち上げ、研究に従事。その後、哲学、社会学、経済学、生物学等を学び、学際分野の研究を進める。1975年、現代人間科学研究所を設立、政府や地方自治体、民間企業からの委託研究を受けている。サンリオ、CSK、キリンビール、味の素をはじめ、企業の顧問を歴任。学際的な視点からの未来研究を展開し、「WSFセミナー」を開催して、好評を博している。また講演会は、全国で開催し、講演回数は3000回を超えた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)